平凡が一番難しい

小さな会社を経営していて感じることを、ぼそぼそと書いています。

『あなたの為』という悪魔のワード

 

今日は未公開の書き溜め記事を吐き出してみたいと思います。

 

 

 

 

 

ちょっと愚痴っぽく長くなりますがお付き合いください。

 

 

 

就労支援事業所(以下:就労)に通所してくる方々には、必ず ”支援者” と言われる人達が取り巻きます。

 

相談支援専門員(以下:相談員)、サービス管理責任者(以下:サビ管)、訪問看護(以下:訪看)などその役割は様々。

 

相談員さんは利用者さん一人につき一名ですが、サビ管については受けるサービス毎に増えていきます。

 

例えばAさんがグループホーム(GH)に入居しながら就労に通所する場合は、GHと就労それぞれにサビ管や支援員がいます。

 

 

ここは縦割りなので、就労の件に関しては就労のサビ管しか対応できませんし、GHもしかりです。

 

 

それぞれに支援方針があるのですが、どこの事業所のサビ管さんと話をしても僕が一番感じるのは『優しさの押し付け』が凄いということです。

 

 

 

『そんなにキツイなら、無理しなくて良いんじゃない?』

 

 

って直ぐに口走る支援側の人が多いという現実。

 

 

 

『あなたの為』

 

 

 

 

これ、子育てをしている方やされた事がある方は子供に対して言った経験がある人も多いのではないでしょうか?

 

 

 

 

この『あなたの為』という言葉、本当にその人の為になると思って(そう願い)言ってることなのか、僕には疑問でしかありません。

 

 

 

 

例えばですが、幼稚園に通い始めた自分の子供が晴天バリバリの夏日に

 

『長靴履いて行きたい』

 

って言いだしたらどうしますか?

 

 

 

 

 

大抵の親は猛烈に反対し、あの手この手で説得を試みるはずです。

 

 

『こんな日に長靴履いてるなんてあなただけ』

『長靴で走ったらコケて怪我するよ』

 

 

 

それは確かに『子供に無用なケガはさせたくない』という親心が含まれている事は間違いないでしょう。

 

 

 

 

しかし心のどこかの片隅に、ほんの少しだけでも

 

 

『周囲にどんな目で見られるか』

 

 

 

という、あなた側の思いが含まれていませんか?

 

 

 

 

 

 

実は『あなたの為よ』という言葉の裏側には、『私の為』がガッツリ隠れてる場合があまりにも多いんです。

 

 

 

 

長靴を履いて園庭を走って怪我した所で大抵の場合はそれほどの大怪我になる事は考えにくいですよね。

 

 

 

なのにそれをもって ”長靴はダメ” って言うのは別の本心が裏側に隠れてるからです。

 

 

 

 

 

ウチの就労支援の場合、高工賃であるが故に高い作業能力が求められますが、それが故に

『早く一般就労に行きたい病』を発症する人が少なくありません。

 

 

 

 

もちろん、自信を付けて貰う事が目的の一つでもありますので有難い事ではあるのですが、その人に一般社会が求めてるのは ”作業能力の高さ” ではなく ”協調性””ルールを守る” と言う様な人間性の部分なんです。

 

 

 

にも関わらず、その人間性の部分を毎日つぶさに見ている我々とは別の支援者が

『寄り添う』

という謎のワードに翻弄され、”完全に本質を見失った状態” で簡単に就労を休ませようとしたり軽作業しかないB型を勧めようとしてきます。

 

 

 

 

ウチの利用者メンバーの中には、数名の方が複数のGHや訪問看護を利用しているのですが、そこの管理者やサビ管がいとも簡単に勝手な事を言い出すケースが多々あるのです。

 

 

 

それは、『自分の所は退居しないだろう』とか『ウチの訪看は継続してくれるだろう』という安易な考えの下、とにかく本人が ”楽になる” アドバイスばかりするんです。

 

 

 

そりゃそうですよね。

 

 

 

甘い言葉の方が受け入れやすいですから。

 

 

 

 

でもここで真剣に考えて貰いたいのが、『本当の意味での ”あなたの為”って何?』って事なんです。

 

 

 

 

就労支援で大事な事は『どうやったら利用者メンバーが気持ちよく作業ができるか』という点を突き詰める事です。

 

 

 

 

障害のある方はその特性から対人関係が上手くいかなかったり集中力が続かなかったりと様々です。

 

 

 

でもその本人の特性をしっかりと見抜き、『この人はこの形でサポートすればしっかり作業ができる』という部分を見つけて本人と共有し、本人にもその自分の特性に向かい合って貰う事が重要なんです。

 

 

 

 

要は作業がキツイからとか工賃が高いとか低いとかでは無いのに、甘い言葉をかけて

『私はあなたの事を理解している』

『私はあなたに寄り添っている』

『私こそあなたの味方

とアピールするのではなく、それぞれの役割の中でその方の特性との向き合い方を探るべきなんです。

 

 

本来のGHでの役割は『共同生活を通じて社会のルールを学び身に付けること』だと思います。

 

 

にも関わらず甘い言葉ばかりをかけるという事は、GH内でのルールを守らなくても『良いよ良いよ』ってなるってことですよね。

 

 

 

本当にそれで良いんでしょうか?

 

 

 

 

良い訳が無いよね。

 

 

 

 

言うべきところはハッキリと伝えていく事が ”本当の優しさ” だと思っています。

 

 

 

 

 

ハッキリ言う為にはまず信頼関係が大切なので、先ずはそこから構築しないといけないのにそれすら分かってない支援者があまりにも多い現実に愕然とします。

 

 

 

 

 

『あなたの為』『自分の為』

 

 

 

 

そう思って貰って間違いないと思います。