平凡が一番難しい

小さな会社を経営していて感じることを、ぼそぼそと書いています。

報酬単価が根拠不明で謎が多すぎる

僕には、毎日必ず行う作業があって、それは一日の利用者さんをカウントするというものです。

 

その表は自作なのですが、その表から読み取れる事項はというと

①利用者さんの延べ人数

②個別支援計画に則った個人の利用日数の上限

③前月をベースとした当月の利用日数予測

④当月の利用日数実績

⑤前月の平均報酬単価をベースにした売上予想

⑥前月の平均報酬単価をベースにした売上実績の予想値

⑦実績報告書(請求書)をベースにした売上実績

⑧一日の平均利用人数

⑨当月の延べ利用人数

⑩売上の前月対比

が分かります。

 

何故この様なフォーマットを自作したかというと、題名にもある通り、報酬単価の設定は根拠を欠いていて謎が多く、先読みする為には細かく実態を把握する必要があったからです。

 

謎① 基本報酬のベースが、何故か月額平均工賃で決められるという謎。

この制度は、『より高い工賃を支払っている事業所の基本報酬を高く設定する為』という意味合いである事は間違い無さそうです。

全国の月額平均工賃が18,000円という実態を打開する為には、各事業所の努力によって工賃を引き上げる必要があります。 その為のニンジンとして、事業所の報酬に直撃するような設定になっているのは分かりますが、何故か ”月額平均” なんです。

週に1日の人も、午前中だけの人もいます。

この方々も含めた月額平均になれば、必然的に下がりますよね?

これは、間違いなく ”時給平均” でなければ意味が無いと思います。 極論で言うと、事業所は毎日通所してくれる人しか受け入れなくなりますよ。

 

 

謎② 施設外手当が年間180日までしか請求できない

施設外就労をしてもらうと、一日あたり200円の加算が貰えるのですが、それには『一人当たり年間180日まで』という縛りがあります。

リセットは毎年4月ですが、ウチの場合は作業のその殆どが施設外なので、夏を過ぎる頃には加算が無くなります。

1日10人の利用があった場合、20日で計算しても月に40,000円の加算になります。

しかし、この縛りのせいで秋口には加算が取れず。。

そうなると、4月~10月頃までの平均単価と11月以降の平均単価がゴロっと変わるのです。

施設内作業で平均工賃を上げられる様な、生産性の高い作業は皆無であり、高い工賃を払おうとすればするほど施設外が増えます。

しかし、その努力をしても、年度の途中になれば ”180日の壁” にぶち当たるのです。

 

 

謎③ 一日当たりの利用報酬が、放課後等デイサービスが約10,000円なのに対し、就労系サービスが8,000円の謎

僕は、過去に放課後等デイサービス事業を約3年間運営した経験があります。

確かに、長期休暇に入れば預かる時間も長くなりますし、知的も精神も重身もお預かりしますので、一度喧嘩が始まると収拾が付かなくなることもあるほど大変です。

そして、各月のイベントや、日々のカリキュラムなど、その子の特性に合った支援を行おうとすればするほどお金が掛かります。

しかし、それでも2,000円の開きにはちょっと納得がいきませんね。

放課後等デイサービスの報酬単価が少し高いのもありますが、就労系が余りにも安すぎるというのが実感です。

 

事業収入を生み出すまでの営業もそうですが、品質を確保する為の社員教育など、指導員としての能力と作業員としての能力を併せ持たないといけないという観点から見ても、単価が余りにも安すぎると感じています。

 

 

謎④ そもそも根拠不明なのはなぜ?の謎

色々と書いてきましたが、要するに根拠不明な点が数多くあるんです。

①なぜ施設外手当200円を設定しているのか?

②なぜ180日で切る必要があるのか?

③なぜ月額平均なのか

 

他のももっと、 ”なぜ?” が存在します。

 

加算を設定している根拠に関しては、『〇〇という観点から』などと書かれている事もありますが、その観点にも ”なぜ?” が付く場合もあります。

 

 

福祉系の事業は、そもそもキャッシュフローが悪い事業となっています。

 

そして、利用者さん一人の増減で一喜一憂せざるを得ないほど、経営に直撃します。

 

そんなリスクを常に抱えながらやっている事は、あまり理解して貰えません。

 

今月も、社会保険料の請求書が来ていますが、僕と社員5人分合わせて250,000円です。

社員がもう一人雇える金額です。

 

前から言っていますが、医療系福祉系サービスに携わる人は ”準公務員扱い” とし、国と地方自治体から直接給料を支払うべきです。
そうやって、従事する人の地位を高めると同時に、身分保障を行うべきです。

人数に関しては、利用者さんの人数によって、雇用数の上限を設定すれば良いだけで、それ以上雇用したい場合は事業所負担でやれば良いだけ。

従業員さんから『お前から給料貰ってねーよ』と言われても、雇用主は会社なので、実質的な指揮監督命令があるので大丈夫。

それよりも、各事業所によって給料面などの処遇が違う事の方が問題で、『どこに行っても給料が同じ』となれば、人気の事業所とそうでない事業所はハッキリしますので、その方が福利厚生や処遇改善という観点からも良いと思います。

 

来月からは、報酬改定が実施されます。

 

ウチにとって、吉となるか凶となるか。。

 

実績ベースで先読みしながら、躓かない経営と強くなる経営を心掛けたいと思います。