資材や物価の高騰が叫ばれて久しい昨今。
政府は企業に対して声高に賃上げを煽り続けた結果、今年の春闘では何とか4%の上昇にまで漕ぎ着けました。
政府はその事をもって『景気回復の足掛かりにするんだ!!』なんて言ってますが、本当に景気は回復するのでしょうか??
というのも、最近気になるニュースがありました。
戸建て住宅の建売で業績を伸ばしていた飯田GHDの業績が急激に悪化しているというこの事実が何を意味しているのか。
新型コロナウイルス感染症が大流行した後の2~3年後にはテレワークが普及、浸透したことにより、自宅でも仕事に集中できるスペースを確保したいとのニーズから、過去に例を見ない程に住宅業界(特に新築戸建て)は活況となり、世界中で始まった木材不足は日本でも『ウッドショック』として大きな問題になりました。
今は多少の落ち着きを見せていると聞きますが、それでも当時は高い時で3倍近くも値上がりした資材や木材があったそうです。
そうなると当然の心理とも言えますが、一度値上げに成功したものを『仕入れ価格が落ち着いた』からと言ってそう易々と値下げなんかしませんよね。
それでも住宅業界が堅調に業績を伸ばしてきた背景には
『まぁ、最近は何でも値上がりしてるから仕方ないよねー』
という、世の中の景気マインドが強かった事が大きな要因だと思います。
そうなると、次に起こる現象としては当然の事ながら
『この価格でも売れるならもっと値上げしちゃおー』
という心理です。
さて、これだけ ”値上げ” を受け入れて来た日本において、飯田GHDの減益は何を意味するのでしょうか?
僕は、それこそが『日本経済の限界』だと思います。
新型コロナウイルスが5類に移行して以降、急激な景気回復を見せた業界もありますが、その業界が一気に設備投資や事業の回復に動いた事で、今度は資材に加えて人材まで不足する事態に陥りました。
飯田GHDの業績悪化の原因について、動画では価格転嫁の難しさを指摘していましたが、僕としては今後は住宅業界に限らず、他の業界にも広がる事を懸念しています。
と言うのも、賃金が上がれば景気は回復するのかと言えばそう単純なものでも無く、物価上昇と賃金上昇のバランスが重要だと思います。
本来であれば、世の中に様々な物やサービスが ”適正料金” で提供される事によって企業は利益を確保し、その中から適正に賃金が支払われる事が望ましいのですが、今の日本で提供されてる物やサービスの価格は、決して ”適正” とは言えないと感じています。
要するに、 ”誰かが独り勝ち” してるんです。
それが誰かは分かりません笑
でも、ここ最近の大企業の決算を見れば明らかで、大企業はコロナが5類に移行する前から過去最高益をバンバン叩き出してますよね。
今や日本の経済は ”共食い” 状態に思えます。
値上げを実行した全ての企業に問いたいのが、『今でも原価は下がっていませんか?』ということです。
飯田GHDの場合、積み上がった在庫処分での大幅な減収の様ですが、その要因も原価の高い家を作ってしまった事が要因ですよね。
もうそろそろ独り勝ちを止めないと、消費者からは『こんな値段じゃ買えねぇ』って言われちゃうと思うんですけどね。