平凡が一番難しい

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就労継続支援A型が激減!?その訳とは?

大分県内の就労継続支援A型が激減しています。

 

話を聞くと、平成30年9月1日付でB型の指定申請が5件下りたという噂も。。

 

しかも、その中身のほとんどはA型事業所からの移行。

 

 

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https://www.city.beppu.oita.jp/ (別府市HPより)

この様に、A型は3社4事業所

B型は15社18事業所となっています。

 

このデータがいつ取られたかは不明ですが、今年の9月1日より前であった事は確かなので、これよりもB型が増えている事になります。

 

では、この数字が意味するものとは何でしょう。

 

 

それは、「A型の運営(経営)が法改正により厳しくなった」

 

という事を意味すると僕は考えます。

 

そもそもA型とは、雇用契約を結ぶ為 「最低賃金の保証」と「雇用保険への加入」が義務付けられています。

その為、利用者さん側からすると、安定した賃金が得られる事から安心して働ける施設としての利用を希望します。

 

しかし、これを経営者目線から考えると、

最低賃金を保証するなら生産性を高めないといけない」

 

という事になります。

 

しかし、そう簡単に健常者と同じだけの生産性を確保できるのでしょうか。

 

応えは “NO”です。

 

NOというより、“ほぼNOだった” という方が正しいのかも知れません。

 

なぜ “ほぼ” かと言えば、健常者と同じだけの生産性を上げている事業所もあるからです。

しかし、これはほんの一握り。殆どの事業所が生産性を確保できていませんでした。

 

 

ではなぜ、今まで事業所を運営できたのでしょうか。

 

 

4月1日施行の障害者総合支援法では、これまでグレーだった給付金からの工賃支払いを完全禁止にしました。

 

要するに、工賃を支払う際に不足した売上げ分を、事業所の運営費用として地方自治体から支給される給付金を充てる事を完全に禁止したのです。

 

これにより、障害者自らが行った生産活動で得た収益分しか、工賃として支給できなくなった為、法律では最低賃金を保証するようになっていても、支給できなくなってしまったのです。

 

僕は、5年以上も前からA型事業所に関する法律の脆弱性を指摘していました。

 

なぜなら、

 

「生産性=給与」という考え方があるからです。

 

会社全体で儲かってるからと言って、その儲けの一部を生産性の低い部門の穴埋めに使っているようでは、経営は安定しません。(余程の大企業で売り上げを圧縮する必要があれば話は別ですが。。)

 

しかし、実情はNPOや社福、非上場の株式会社や一般社団など、地域の中小企業が運営している為、そんな体力は基本的にありません。

 

国は、障害がある方の目線と運営する企業からの目線を持つ必要があります。

加えて、財源の問題もありますので、地方自治体への配慮も必要です。

 

その様に、様々な視点を取り込んで作らなければならない法律が、机上の空論になっている様な気がしてなりません。

 

障害者に高賃金が支給できる仕組み

運営事業者が安定して経営できる仕組み

地方自治体の財源が確保できる仕組み

 

この仕組みを作ろうと思うのであれば、プロ経営者の視点を取り込むべきです。

 

この先の懸念事項としては、悪質な業者が出てくることです。

 

B型事業所では利用者確保が難しい為、仕事が無いにも関わらずA型事業所を作ってA型で利用者を募集し、「A型では難しい」という理由でその方々を自前のB型に移行させるという事を考えることも可能だからです。

 

何故これを悪質というかと言うと、利用者さんはA型の工賃を期待しています。しかし、その3分の1程度(場合によってはもっと少ない)の工賃であるB型に、事業所の事情で移行させられるからです。

 

A型とB型の工賃の開きが軽微であれば良いでしょうが、実情は

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https://www.pref.oita.jp/uploaded/attachment/2018854.pdf大分県HPより)

約3倍程度の開きがあります。

それを阻止する為には、A型事業所を運営する事業所には「本当に仕事があるのか?」を確認する必要がでてきます。

 

もしそれが現実的に難しいという事であれば、「B型に移行する時は他事業所に限定する」事を盛り込む必要があると思います。

 

これからは、福祉施設ではありますが就労継続支援事業者にも ‟営業努力” が求められると思います。

 

様々な業種の方と話をし、そこから仕事を切り出す提案を行い、業務の一部を委託してもらうという ‟営業活動” が欠かせません。

 

そして行政側も、営業努力をしている事業所には、それ相応の単価で応えるべきですし、そうでない事業所にもそれ相応の単価を設定するべきです。

 

障害者雇用が、これからも発展継続することを祈念して止みません。