先月から取りかかり始めた旅館の客室清掃も少しずつスキルが上がり、作業効率が上がってきました。
その理由は、回を重ねる毎に利用者さんによっての得手不得手がハッキリもしてきた事が一つの理由と考えられます。
写真の利用者さんは、客室の掃除機をかけようとすると細かい部分に目が行き届きません。
なので、廊下や宴会場やホールなど、広い空間の掃除機をひたすらかけて貰う事に。
この様に、一緒に作業をしながら一人一人の特性と得意分野を見極めて分業することに指導員の役割があります。
そんな中、利用者さんの能力を見ていくともっと工賃を出せそうな利用者さんも出てきました。
スバルでは、時給の他に歩合給として作業内容に応じて数円~数百円の手当が別につくのですが、工賃も含めて更にステップアップできるステージを準備する必要を感じています。
利用者さんの能力を適正に判断し、次の段階へのステップアップを促す。
これを優先的に考えた時には、多機能型というキーワードがでてきます。
僕はこれまで一貫してA型事業所は制度的に崩壊していると言い続けてきましたし、その考えは変わりません。
しかし、その制度を崩壊させずに運用させる方法がB型からのステップアップになるのではないかとも考えています。
A型は雇用契約を結ぶ為、最低賃金が保証されます。雇用保険などの各種保険も完備しなければなりません。
そうなると、事業所は当然の事ながら利用者さんには生産性を求める事になります。
しかし、これまではその生産性を事業所側は利用者さんに強くは求めていませんでした。
それは何故かと言うと、法律上は禁止されている「給付金からの給与支給」というグレーゾーンでの運用が黙認されていたからに他なりません。
「ダメと言われても、出来ないんだから仕方ない。」
こんな風潮があったのではないでしょうか。
僕はそんな風潮にそもそも飲まれない為にB型でスタートしました。
スタート当時はまだまだA型が強く、当時雇っていた従業員からも
「B型だけでは利用者さんは来ない」
とまで言われましたが、そもそも制度が崩壊しているA型に乗り込む積りはサラサラありませんでした。
しかし今、仕事を頂いてる企業様からもスバルの仕事を認めて頂ける事が増え、単価の交渉も少しずつですができる様になりました。
そうなると、数名をA型に引き上げてもお給料が払える様になるのです。
最初から高い単価では企業は外注してくれません。
我々だって、最初から当たり前の単価を頂ける程の能力がありませんし、指導力なんてもってのほかです。
B型の運営を始めて間もなく1年になりますが、この間は非常に厳しい経営を強いられてきました。
本当に苦しかった時には、「B型では利用者さんは集まらない」という言葉が頭から離れず、信念を曲げそうになる事も。
でも今は、「制度通りに運営する」事を心掛けて良かったと本当に思います。
「給付金から給与(工賃)を支払わずに運営する為にはどうすれば良いか」を常に考え続けた結果が、単価の高い(高くなる)作業を営業で受注する事でした。
今はその営業活動が功を奏し、アクティブな利用者さんの平均時給は390円になります。
最も高い時給単価で490円。 最も低い時給単価で320円です。
ここまで来ると、最低賃金の背中が見えてきました。
なので、多機能事業所として新たな分野に取り組んでみようと思います。