今日も中津に行きますが、目的はプレゼン大会の審査です。
二週に渡って、参加者のブラッシュアップを行ってきましたが、今日がその成果発表となるので、楽しみにしています。
中でも気になってる受講者さんにAさんという方が居ます。
その方は、老舗の調味料製造会社に跡取りの嫁として、現場に入っています。
その業界自体も、消費者の高齢化などによってジリ貧となりつつあった為、異業種をいくつも経験しているAさんが、新たな風を吹き込むべく新商品の開発に5年前から乗り出しました。
その商品は、本業の調味料とは無縁とも思えるジャンルのものですが、話を聞いていると『麹』というキーワードがありました。(守秘義務があるので詳しく書けなくてすみません)
Aさんがターゲットとする ”意識高い系女子” 向けにパッケージデザインも洗練されており、Aさんは見事、ターゲットとなる30~40代女性のハート射止めて新商品は爆売れしたそうです。
気付けば、売上比率でいうと60(新商品):40(本業)になっており、社内でも『救世主』として発言力が強くなりました。
本業の売上も、下降気味とは言え、まだまだ根強い地元の愛好家に常用されているので、ある程度は見込めていました。
その上で新商品が爆売れしたので経常利益は右肩上がりとなったのです。
そうなると、目線は本業では無く ”新たな商品の開発” にどうしても向かってしまいます。
『新商品の販路を更に拡大しつつ、新たな商品開発に着手しよう』
しかし、そんな矢先にコロナが発生してしまいます。
新商品の売り上げは徐々に落ち、最盛期の半分以下にまで目減りしたのです。
展示会に出品しようにも、その展示会自体が開催されません。
SNSやネット通販に力を入れようにも知識が無く、かと言って高いお金を払って専門家を起用するのにも躊躇してしまいます。
補助金の採択率も下がり続けているとの情報もあって、今回のセミナーへの参加を決意されたそうです。
面談の初めに、先ずはその方が考える現状とその後の対策をじっくり聞きます。
その中でAさんが重視していたのが
①店舗を改装して、ターゲットとなる若い女性の来客数を伸ばす
②SNSなどの口コミで更なる集客を目指す
③新商品を開発して、話題性を作る
という戦略でした。
戦術的には
①改装の為の補助金を獲得する
②最初は自ら積極的に投稿する
③『麹』のキーワードにこだわらずに、商品開発をする
というものですが、ここに大きな落とし穴がある様な気がしました。
それが、
『どれも本業から外れている』
という事です。
一度得た成功を手放すのは容易ではありませんし、僕らとしても一定の売り上げを維持している商品を捨てる事はお勧めしません。
しかし、大切な資金を投資する順序や規模が間違っているというのは否めません。
①コロナ禍で来客数増加が見込めないのに店舗を急いで改装する必要があるのか
②新商品のマーケティングは出来ているのか、またどうやってPRするのか
知ってもらわなければ売れないのは、当たり前です。
しかし、ローカルのテレビやラジオに紹介されたとしても、売上は瞬間的に伸びるだけで、今後もブームを追い続ける結果になってしまいます。
その中で僕たちが『是非に』とアドバイスした事が
”本業を磨く”
事です。
その会社の調味料を取り扱うスーパーも限定されており、現状は ”三河屋さん状態” での販売がメインとの事です。
商品の画像を見せてもらいましたが、どれも ”どの会社が作った” ”どんな特徴のある商品で” ”具体的に何に合うのか” が全く伝わらないラベルになっていました。
それもそのはず。
その商品は ”昔から買い続けてくれるご近所の常連さん向け” ですから、特別なアピールは必要無いんです。
これは勿体ない。
本業の製品も、とてもこだわって作られており、ラベルやボトルの形状、サイズ感を見直せば十分に勝負できると感じました。
ラベルのデザインはAさんが過去の経験から強みとしていましたので、新たなボトルに投資する事をお勧めしました。
過去にも、色んな所から同じようなアドバイスを受けていましたが、新商品が売れた事もあり、ついつい後回しになっていたとの事。
『やっぱりそうなのかー』
と、頭では分かっているつもりでも、なかなか行動に移せないものです。
今日は、その後の話がどうなったかが聞けますので、とても楽しみにしています。