平凡が一番難しい

小さな会社を経営していて感じることを、ぼそぼそと書いています。

外食事業の『美味しいだけでは売れない』は本当なのか?

東洋経済オンラインさんの記事はほんとに良く読ませて貰ってるのですが、また興味深い記事がありました。

それが

headlines.yahoo.co.jp

という記事です。

 

復活劇や大成長を遂げたチェーン店と、それとは反比例する形で急失速してしまったチェーン店についての記事。

 

復活を遂げたり急成長したチェーン店に共通しているのが『めちゃくちゃ美味しい商品を出した訳ではない』という点にあります。

 

もちろん元々のポテンシャルは重要で、不味ければそもそもチェーン店になんかなっていないのですが、改めて何かしたという訳では無いようです。

 

 

では、外食産業での勝ち負けを決めるはずの ‟味” 以外で何を訴求したのか。

 

この記事によると、それは ‟個への訴求” とあります。

 

SNSなどで映えする商品などを開発し、 ‟映え”する商品を探している ‟個へ訴求” することで来店を増やすというマーケティング手法だそうです。

 

このやり方は、特別にフォロワーが多いインフルエンサーでなくても、身近な人への情報提供だけでもそれなりの効果が期待できると思います。

 

この訴求を成功させたのが、いわゆる『勝ち組』になったという事の様です。

 

 

そこで、この記事を読んだ後に、昨夜家族で久しぶりに外食をした居酒屋さんの事を思い返してみました。

 

その居酒屋さんのい個人的なオススメは、何と言っても地鶏のタタキと牛刺しです。

 

昼間は隣で精肉店を営まれており、夕方からはその新鮮なお肉を隣の店舗で炭焼きにして提供しているのです。

 

決して ‟映え” する商品が提供される事はありません。

 

むしろ、炭火で丁寧に焼かれた商品はどれも茶色がベースであり、写真に撮ったところで食欲をそそらせる為には恐らくプロの腕前が必要でしょう。

 

しかし、お店はいつも大盛況。

 

昨夜も予約せずにおいそれと行ったのでは入れない状況でした。

 

 

もちろん、チェーン店と個人店は比較の対象にはならないとは思いますが、同じ外食事業というくくりでみてみれば、何かしらの共通点であったり、原点みたいなものが見えてくるような気もします。

 

チェーン店の強みと言えば、その資本力を活かした設備投資とスケールメリットによる原価の抑制でしょう。

好立地の場所に店舗を構えられるのも大きな強みです。

また、マーケティングにお金を掛ける事ができるし、専門家を招聘して戦略を立案する事だって可能です。

 

しかし、個人店の場合、それとは真逆です。

設備は必要最小限で、小ロットの仕入れでは原価は上がります。

また、立地にも資金繰りの都合で限界がありますし、専門家の招聘なんか考えた事もないでしょう。

 

しかし、売れてるんです。

 

これは何より『美味しいから』に他ならないのではないでしょうか。

 

入れ替わるバイト君が焼く地鶏のタタキと、この道何十年と磨いてきた腕とでは、品質に雲泥の差があるのは事実でしょう。

 

先ほどの記事には、『いきなり!ステーキ』の急激な失速の原因は、『店舗数の急拡大によって、店舗同士で客を奪い合った』とありました。

 

なるほど、そうでしょう。

 

しかし、なぜ店舗の急拡大で客を奪い合う結果になったのでしょうか?

 

 

それは、品質の低下を招くような店舗運営をしてしまった。という事に尽きるのではないでしょうか。

 

つまり、『店舗を増やした分だけファンを増やす事ができる人材を増やせなかった』事によるのではと考えています。

 

設立当初は、美味しいステーキを、より低価格で提供することが目的だったと思います。

 

しかし、僕が客として来店した際の感想としては、商品の注文段階から煩わしさを感じてしまったり、実際に食べてみても感動するほど美味しい訳でも無く、かといってコスパ最強!!という訳でも無いというものでした。

 

どの事業も ‟人” が何より大切です。

 

『あの従業員さんが焼くステーキは美味い!!』となれば、お客さんは自然と戻るのではないでしょうか。

 

『チェーン店だからそういうのは難しい』というのは大手の発想です。

 

丸亀製麺が特に良い例で、丸亀製麺こそ品質重視で、それを顧客にPRする事によって急成長を遂げています。

 

そう考えると、これから先の時代は ‟映え” を重視した見た目の美しさよりも ‟なぜ美味しいのか” を訴求できるお店が勝っていくような気がしてます。