平凡が一番難しい

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病床使用率20%台も、医療崩壊懸念の何故

昨夜のニュースで、現在埋まっている重傷者の病床数が20%台であるにもかかわらず、医療崩壊が進んでいるという話題を目にしました。

 

『これから先の懸念』という様な伝え方をしていましたが、視聴した方は『?』だったのではないでしょうか?

 

コメンテーターも、『今はまだ余裕がある様に見えるが、現場は既にひっ迫している』という説明をしていましたが、病床数に余裕がある数字が出ている以上、説得力に欠けたのは否めません。

 

では、なぜこのような事態に陥るのでしょうか?

 

それは、国が定める ”定員数” に根本的な問題がある事はあまり知られていません。

 

僕が営んでいる就労支援事業もそうですが、国の基準に従い利用者さんの定員を20名とすると、法令に従う形で職員数を最低3名配置する必要が出てきます。

 

そうすると、給付金は利用者さん一人当たり一日いくらなのに、人件費は固定で発生します。

という事は、利用者さん1名しか来ていない場合は物凄い赤字が発生するのです。

 

これが病院の場合は、病床数がいわゆる定員となります。

 

しかし、皆さんは最近、『病院がなかなか入院させてくれない』や『入院できる期間が短くなった』という話を耳にした事はありませんか?

 

要するに、国としては固定で莫大な費用が必要になる入院を減らして、”地域移行” ”地域医療” という言葉を用いて自宅での療養を推奨しているのです。

 

それは、入院患者一人当たりに病院に支払われる費用にも反映されています。

 

病床数が多い病院は必然的に看護師を、確保しなければいけませんが、単価は下がっています。

大病院であれば、先進医療などの手術や外来でカバーできますが、中小病院はそうもいきません。

 

要するに、病床数はあるものの、そもそも満床に持っていくほど人を確保出来ていない。というより、制度的に出来なくなっているのです。

 

『お宅は病床数(定員)○○人の施設なので、従事者を○○人配置して下さい。』

 

この観点は、満床や満員になった時でも安定したサービスが提供できる体制を予め取る必要があるという観点からですが、一方的な配置計画で、本当に安定したサービスに繋がるのでしょうか?

現状を見れば、決してそうとは言えないと思います。

 

 

この定員という概念が本当に厄介で、現場を知らない役所仕事だと僕は思います。

 

ただ、現状のひっ迫は定員数の問題だけではない事を付け加えておきたいと思います。