政府が進める『同一労働同一賃金』。
これを巡る非正規雇用者からの裁判が、ここ最近増えてるそうで。
『正規雇用者と同じ仕事内容で、同じ年数なのに退職金に差がある』
『正規雇用者には付いてる手当が、非正規労働者に付いてないのは不当だ』
という様に、雇用形態が違うだけで差が付くのはおかしいというのが、原告の良い分です。
それに対して企業側は、
『会社の利益に直接かかわる様な重要な業務は任せていない』
『転勤や出張などの可能性がない』
など、正規と非正規のは業務の質による待遇の違いを主張しています。
とはいえ、何をもって ”同一労働” とするのかという、判断基準がはっきりしない以上、両者が納得する事はないと思われます。
ではなぜ、会社側は正規と非正規を分けて求人をするのか
SICも求人を出す時には、正規と非正規を分けて求人を出しています。
非正規を募集する理由は
①一日3~4時間程度のスポットで欲しい
②週2~3日程度の忙しい日に人が欲しい
③社会保険への加入を希望しない人が欲しい
正規を募集する理由は、指定基準を満たす為の求人ですが、求める人材像としては
①シフト制による変形労働制なので、融通が利く方が良い
②結構キツイ仕事もあるので、勤め上げる決意のある人に来て欲しい
③自分で考えた事を相談してくれて、その上でとりあえず実行に移してくれる人
基本的には、どこでもそうでしょうが人手不足になる事で求人が始まります。
しかし、人件費は販管費の中でもかなりのウエイトを占めますので、ここが一番慎重になります。
では、なぜ会社は正規と非正規を分けるのか?
結論から言うと、正規で雇用した場合の給料以外の経済的負担が余りにも大きいから
です。
社会保険料は、支払う給料の30%余りに上る為、三人雇用すると、経費的にはほぼ4人雇用してるのと同じです。
掛かるのは社会保険料だけじゃなく、福利厚生費も増えます。
これだけ年金や保険料、税金が掛かるのであれば、非正規を雇用しようとする経営者心理が働いても無理はないかと思います。
僕も昔、先輩から
『お前の給料の3倍は売上持ってこないと会社は赤字』
と言われてましたが、これはどんぶり勘定でも何でもなく、かなりの正論です。
SICでは、社員さんの月給を時給換算して、それを基にパートタイマーの時給を決定しています。
それは、正規でも非正規でも、行って頂く仕事の価値が同じであればそうするべきとの考えからです。
しかし、社会保険料云々に関しては、本当に経営を圧迫しますので何とか削減したい項目です。
コロナによる倒産や失業が増えてる今、しっかり儲かってる会社から徴収する仕組みにシフトしないと、日本企業の9割を占める零細中小企業による雇用は絶対に拡大しないと断言できます。
このコロナ禍を一過性のものとして捉え、『その内良くなる』とか『コロナが落ち着けばこの業界は良くなる』と考えるのは本当に危険です。
もし、年内にコロナが収束したとして、来年やそれ以降に二度と来ないという保証はありません。
現在のコロナに対して免疫を獲得したとしても、相手が形を変えてくれば100%予防する事は不可能。
そう考える経営者は、更なる非正規労働者の雇用拡大に努めることでしょう。