平凡が一番難しい

小さな会社を経営していて感じることを、ぼそぼそと書いています。

足りない位が丁度良い

昨今、大きな話題になってる日韓関係ですが、大分の観光産業にも影を落とし始めた様です。

 

今後も当面は観光客が減少する事が懸念され、一刻も早い関係改善を望む声が多く寄せられてるとの事です。

 

このニュースを見た時に思い出したのが、スバル自動車の現代表取締役会長である吉永氏の経営哲学である「足りない位が丁度良い」です。

 

吉永氏の社長時代、スバルは北米市場に活路を見出す戦略を掲げ、車体を外国人ユーザーを見据えた大型化や環境に配慮したハイブリッド等を次々に投入し、見事に市場開拓に成功。 その分、日本国内の根強いスバルファン(スバリスト)からは「日本を捨てたのか」という声もちらほら出てきました。

そこで当時の吉永社長はちょっと小型のスポーツワゴン ‟レヴォーグ” を投入し、不満を押さえつけるどころか国内のスバリストを大満足させたのです。

 

そんな吉永氏が常々仰っていたのが先ほどの経営哲学なのですが、この言葉が出てきたのはある記者の方が「ここまで北米が順調で、現地の販売店からもモノが足りないからどんどん作ってくれと要望があるみたいですが、生産ラインを増やす計画はありませんか?」との問いに答えたものでした。

 

その時の吉永氏の答えは驚くべきもので、「もちろん生産台数は増やすが、足りない位が丁度良いので全ての要望に応える様な設備投資はしない」といった考えを明かしたのです。

 

ついつい、お客様の要望には応えたくなるのが経営者です。

ビジネスチャンスをみすみす逃す事にも繋がりかねませんし、もしも見逃せばその機会損失たるや図り知れません。

 

しかも、スバルといえば日本国内でも5番手6番手のメーカーなので、躍進のタイミングは是が非でも逃せません。

 

なのに吉永氏は「足りない位が丁度良い」を貫かれたのです。

 

結果として、多少はラインを増やしつつも業務改善を行う事で、増収増益と販売台数過去最高を達成されています。

 

今、別府という観光地で生活していると強く実感する事が、アジア圏からの観光客が圧倒的に多いという事です。

その時、経営者が考える事が「アジア圏の方に向けた案内板(飲食店のメニューを含む)を更に充実させよう!!」です。

 

この発想は、「キャッシュが潤沢にあるから、今のうちに設備投資を」というものから来るのですが、僕がもし観光業に携わっているとしたら

「アジア圏以外で、次に増えそうな観光客の為に案内板を作ろう」です。

 

何故ならば、アジア圏のお客様は今の状況で既に観光をされてます。

 

であるならば、これ以上の過剰な設備投資はせず、次を見据えた設備投資をするべきではないかと思うからです。

 

ウチも、車輌が足りてない状況が続いていますが、まだ完全にアウトにはなっていません。

 

そうなると、買い時が難しいのですが、吉永氏に見習ってギリギリまで耐えようと思います。