平凡が一番難しい

小さな会社を経営していて感じることを、ぼそぼそと書いています。

就労支援事業所に関する報酬の算定基準について余計な事を言ってみる

頭の中を整理しながら書くのでちょっと長文乱文になります。

 

就労支援事業所売り上げは、障害福祉サービスの一環として国6:県2:市町村2の割合でその財源を負担し、サービス給付金という形で支給される事で賄われています。

 

これが事業所運営費に充てられて家賃や職員の給料などの経費を支払う訳です。

 

その為、民間でありながらも半官である事を自覚し、適正な運営を心掛けなければなりませんし、不正請求などにならない様に常に気を付けなければなりません。

 

ここで少しだけ補足的に就労支援事業所の説明をすると、

就労支援事業所は、その他の福祉サービス事業とは少し勝手が違い、生産活動と言って給付金とは別に利益を生み出す事が求められています。

 

そして、この生産活動で得られた売り上げは、基本的には利用者さんの給与(工賃)として全額(最低限の必要経費を除いて)支給することが義務付けられています。

 

 

という事と併せて

「事業者に支払われるサービス給付金を利用者の給与(工賃)に充ててはならない」という法律もあります。

 

これを前提として支払われるサービス給付金の額は、平成29年度までは利用者さんの数によって変動するという理解不能な算定基準で運用されてきました。

要するに、利用者さんが沢山来てる事業所の場合は一人当たりの単価を低く設定し、少ない事業所には単価を高く設定するというもの。

この場合、僕の駄算によると10~15人の事業所が一番利益‟率”を高くすることができる計算になっていました。

 

そうなると、事業所は利用者数の人数制限に走りますし、利用人数を過少申請するという逆不正請求を招く恐れもあります。

 

報酬とは違う形での過少請求の実例として、放課後等デイサービス事業者のケースでは支援員の人材不足の影響で規定数の人員配置が出来なかった為、その日の利用者数を過少申告しているというケースが今でも発生していると聞いた事があります。

 

不正請求と一口に言っても、過大請求だけでは無いという事例ですね。

 

 

そして今回の法改正。

 

とても期待していました。

 

何故なら、人数ではなく「平均工賃の額」に応じて給付金の単価が変わる事になったからです。

 

スバルでは、5万円以上稼いでいる人が沢山います。(予備軍も含めて)

 

そうなると、上限の645単位となり、一人当たり/日6,450円(大分県の場合、単価×10)となるからです。

 

現在は、意味不明な半年縛り(開所後6か月間はにより571単位に抑えられていますので、本当に助かる。。

 

 

 

 

ハズでしたが!

 

 

結論から申しますと、平均にしてしまうと24,000円台となってしまう為、597単位になるのです。

 

「5万円超えてるのになぜ?」という声があちこちから聞こえてきます。

 

えーえー。分かります分かります。

 

ではその疑問にお答えしましょう。

 

それはシンプルに

 

「週一や週三回の利用者さんも沢山受け入れているから」です。

 

週一や週三利用を希望するのには訳があります。

 

お薬や体調、体力面、精神面。

 

色々と調整して、自分の心と体と戦って通所してくれてます。

 

なのに、その方々を受け入れた事業者だけが損をする様な話になっている事に理不尽さを感じます。

 

これからも、週一でも午後から通所でも大歓迎でどんどん受け入れさせて頂きたいと思いますが、工賃の平均を合計から割るのではなく、一日あたりの平均で出して頂きたいものです。

 

ハンドブックのサービス概要にはこうあります。

(前略)その年齢、心身の状態その他事情により引き続き当該事業所に雇用されることが困難となった者、(中略)その他の通常の事業所に雇用される事が困難なものにつき 

 とあります。

ここまでを前提とするのであれば、必然的に通所の日数は少なくなりますし、時間だって短くなりますから月当たりの工賃が低くなる事は当然かと思います。

 

であれば、通所できた日に支給される工賃の額でみて頂きたいものです。

 

最後に一言添えさせて頂きますが、何べんも言うように現場の声を聴いて欲しいと思います。

 

制度設計をする上で、どれだけ現場の声が反映されているのか甚だ疑問です。

 

制度が新しくなったとはいえ、必ずしも前進したという実感が湧かないのもそこにあるのではないでしょうか。

 

現場のスキルは物凄いスピードで上がっていますが、そのスピードにお上が付いてこれていないと思っています。

 

繰り返される人事異動の度にスキルは0カウントにリセットされますし、そこから積み上げられるものは正直知れてると思います。

 

自分たちだけで考えず、現場と手を取り合って制度設計を行い、先進国らしく福祉先進国の道を歩んで頂きたいものです。

 

いつもいつも耳にしますが、「福祉先進国スウェーデンに習って」という言葉はもう聞き飽きました。

 

先駆者がいれば、見習う側は安心して実行できるでしょう。

 

しかし、国民性も事情も全てが違う国を真似して何が得られるのでしょうか。

 

もし本気で習うつもりがあるのなら、丸々真似して貰いたいものです。