平凡が一番難しい

小さな会社を経営していて感じることを、ぼそぼそと書いています。

またもやワークマンが。。

『中小零細の社長が何言ってんだよ』

 

 

そう言われそうですが、”ワークマン愛” が溢れた一人の消費者であり、曲がりなりにも経営をやってる一人の経営者として ”ワークマンが犯す2つの戦略ミス” を挙げてみたいと思います。

 

 

 

 

今回はこの記事から。

news.yahoo.co.jp

 

一つ目の戦略ミスは、

値上げを断行しないと判断した経営陣。 手腕が問われる事になりそうです。

 

 

 

記事の中では同社のキーマンである土屋専務が

「値上げによる客離れのリスクは大きい。(価格据え置きは)やせ我慢どころか、氷の上にいるような感じ」

と発言しているのがとても気になります。

 

 

これは、『利益はある程度は確保できているので値上げはしない』という能動的な判断では無く、『客離れのリスクがあるから値上げはしない(できない)』という客の購買意欲から判断する受動的なものになってますよね。

 

 

 

 

さて、値上げをすると土屋専務の言うような客離れは本当に起こるのでしょうか??

 

 

 

僕の予想はほぼほぼNOです。 減っても1~3%程度だと考えます。

 

 

 

僕はこの記事を読んでお客が持ってるワークマンへのイメージと、土屋専務が持つイメージにはギャップがある様に感じました。

 

 

 

僕が初めてワークマンに行ったのは約4年前で、行くまでは『安い』というイメージが先行していましたが実際に店舗に行って商品を見てみると、そのイメージは『コスパ最強!』に変わっていました。

 

 

 

安価なのに高性能というここのギャップがとにかくデカい。

 

 

 

要は5%や7%値上げしても僕なら全然行きます。

 

 

 

そのくらいワークマンに対する品質への信頼があるにも関わらず、土屋専務は『客離れのリスクがある』と判断しちゃってるんですよね。

 

 

 

でもですよ、

22年7月まで既存店売り上げは前年同月実績を上回っていたが、8月は4.0%減、9月も1.2%減とマイナスに転じた。

と、値上げをしていないにも関わらず単月ベースでは落としてる月もあるんです。

 

 

12月は若干取り戻した様ですが、更に気がかりなのが

22年4~12月期の原価率は64.1%と、前年同期より4.6ポイントアップした。

という、原価率アップという点です。

 

 

これだと売り上げを増やしたとしても利益が下がるという現象になりますよね?

 

その証拠に

23年3月期(通期)の、売上高にあたる総収入は前期比7.7%増の1252億円、営業利益は18.8%減の217億円を見込む。総収入(売上高)営業利益率は17.4%と、前期より5.6ポイント悪化する。

と。

 

 

ほれ。 だからそうなるんだってばさ。

 

 

 

 

その要因の一つは言うまでもなく ”製造コストの上昇” が挙げられます。

 

 

こんな状況下でも『利益は十分確保できてるんで価格据え置きます!』っていう経営してるなら『おーー!ワークマンすげーじゃん!!』ってなりますけど、『氷の上にいるようで。。』なんて言われたら『いやいや、値段上げようよ(笑)』って話です。

 

 

 

そして今や世の中はこれまでに無い ”空前の値上げブーム” ですよね。

 

 

 

こんな値上げのビッグチャンスを逃すとは、これはちょっと判断をミスってるとしか言いようがありませんね。

 

 

 

 

 

そしてもう一つ、重大な戦略ミスとなりそうなのが出店計画だと考えます。

 

本部としては

22年12月末時点の店舗数は977店。中長期的に1500店体制を目指す。

ワークマンプラスは470店から900店へ1.9倍、女性向けアウトドア衣料を中心に扱う「#ワークマン女子」は25店から400店へと、実に16倍という強気の目標を掲げる。

そうですが、僕は出店に関する戦略においての ”強気の目標” は砂上の楼閣だと思っています。

 

 

と言うのも企業というものはその規模の大小を問わずステークホルダー(利害関係者)への責任を果たす必要がありますし、増してや上場企業ともなれば株主に対して尚更のことです。

 

 

そうなると企業としては常に成長軌道を描く必要がありますし、上場企業はそこに更なるスピード感までもが求められます。

 

 

 

そこで企業はステークホルダーを喜ばせようと ”強気の戦略” を打ち出しがちですが、ここには ”落とし穴” があることもしっかり理解しないといけないのです。

 

 

過去に出店計画で大失敗をした例として『いき〇り!ステーキ』を思い浮かべますが、これは単純に『出店数増加』と『企業の成長』を『=(イコール)』で結んでしまった事が原因だと思います。

 

 

もちろん、店舗数が増える事によるメリットもありますので、一概に店舗数増加がダメだとは思いません。

 

 

 

でも今のワークマンを見ていると、ルフィーの『海賊王に俺はなる!!』みたいなノリで『キリが良いから1,500店舗にする!!』って言ってる様に感じてならないんです。

 

 

 

日本の人口は減ってるし、ネット通販でも限定商品が買えるなど充実してきてるのに、何故リアル店舗の出店に拘るのか。

 

 

 

ネットが普及する以前では、店舗数がその企業の規模を示す一つの指標であった事は間違いありません。

 

その上で問うべき事は、今の時代に ”過去の尺度” を持ち出してない?ということです。

 

 

 

出店計画。

 

 

大いに結構だと思いますが、”強気の戦略” と ”堅実な戦略” のバランスが求められると思います。