平凡が一番難しい

小さな会社を経営していて感じることを、ぼそぼそと書いています。

『80%の法則』という仮説を立ててみた。

今夜は携帯からの更新なので、読みにくい部分が出てくるかも知れませんが悪しからず。

 

 

さてさて、会社を経営していると、様々な判断をしていかなければなりませんが、これに対して一貫性を持たせるのはなかなか至難の業でして、その時の経営状況や景気になどを見極めて、その都度判断する必要があります。

 

ただ、その中で『経営哲学』というものはとても大切だと思いますし、僕も指標とする言葉を持っています。

 

それは、元スバル自動車社長の吉永さんの言葉でして、それは『足りない位が丁度良い』というものです。

 

顧客から『買いたい!』というニーズがあれば、経営者としては『バンバン作って売れる時に売っとけ!!』となるのが常ですが、吉永さんは『すみませんが、急いで作るので2年待ってください!!』という経営を貫かれました。

その結果、北米市場で驚異的な販売台数を叩き出すのですが、何より凄いのはその“利益率の高さ”にあります。

 

勿論、経済アナリストを名乗る一部の人からは、この経営方針を叩かれました。

 

しかし、その結果としては、スバルというブランドの価値が向上しましたし、値引きをしなくてもインセンティブを多く支払わなくても売れる仕組みが出来上がったのです。

 

その中で負の部分を言うと、『売れるので新型車が出にくい』という結果を生んでしまいました。

勿論、妥協をしない車作りも、新車が出ない要因の一つでもあります。

 

そうなると、困るのは販売店です。

 

『次のモデルが出たら買いたい』という顧客を、何年も待たせるのは至難の技です。

 

売店と顧客の両方が、痺れを切らす寸前で新型車を投入できた事で、更なる飛躍を遂げた訳ですが、結果的には『良い車を作れば売れる』を体現した、素晴らしい事例だと思っています。

 

 

その哲学を常に念頭に置きながら、日々の経営に取り組んでいますが、時折、概念や理念では無く『具体的な判断基準』が欲しいと思う事があります。

 

それは、『足りない位が丁度良い』の『足りない位』にあたる具体的な数値です。

 

事業を拡大する。または縮小する。

新たなビジネスに挑戦する。または業種転換する。など、大きな判断になればなるほど、その判断を誤りたくないもの。

 

そんな時に、『数字がここに達したらこうしよう』という、具体的な数値があれば、もっと正確な判断が可能になるのではと。

 

そこで考えた仮説が、「80%の法則」です。

 

これには、先ず『100%を知っていなければいけない』という前提が付きますが、その100%を知る事も経営者としては大事な情報だと思います。

 

では、SICの100%とは何でしょうか?

 

ウチの会社で言えば、1日の利用者数が20人に達する事が、それに当たります。

 

そこで言えば、ウチはまだ50%足らずであり、今の倍は売り上げる事が出来ます。

 

例えば、それがネジを作る会社であれば、現在の設備と人員で製造出来る最大個数が100%となりますし、飲食店であれば1日に回せる客席数と回転数を掛けた数が100%となります。

 

しかし、本当の意味での100%の稼働率というのは、どの業界でも無理な数字だと僕は思います。

例え、インバウンド需要で観光バブルが来ていて、連日満室となったとしても、100%のお客が一番高い料金設定で宿泊している訳ではありませんし、仲介業者やクレジット会社への手数料の支払いが発生したりします。

 

しかし、100%で無くてもほぼ満室状態が続けば『事業拡大する為に、新しいホテルを作ろう!』とはなる筈です。

 

そんな時に出てくるのが、80%の法則です。

 

要するに、『100%に限りなく近づいたから新たに作ろう』では、既に遅いという仮説です。

 

事業拡大するのか、現状維持するのか、その判断は売り上げが80%に達した時点で行うのが良いのではないかと。

 

逆もしかり。

 

生産能力が1日10,000本あるネジ製造会社が、今まで9,500本を製造していたとします。

生産率が95%もあれば、それなりの利益は確保していたはずです。

 

しかし、景気が悪くなり、注文が8,000本を割り込んだら、そんな時には次の手を考える必要があるというものです。

 

SICは、まだ50%もの余力がありながら、大分への出店を決めました。

これを、上記の法則に当てはめれば完全に時期尚早です。

 

しかし、SICにはもう一つ、売り上げを伸ばすのに必要な要素が欠如しているのです。

 

それが、『定員を賄うだけの物理的スペースが足りない』という課題です。

 

最大で、1日14人もの利用者さんが訪れて、そこに職員が5〜6人が常駐するとなると、お弁当を食べるスペースすら足らなくなってしまうという、問題が発生しているのです。

 

これでは『足りない位が丁度良い』なんて、悠長な事は言ってられません。

 

特に、知的と精神の方々の距離感には、最大の配慮が必要です。

 

そこで、別府市内でのサテライトを検討しましたが、大分市に舵を切る要素がいくつか出てきたのです。

一つ目が、別府では認知度が高まってきているにも関わらず、新規利用者さんの紹介が激減している。

二つ目が、洗車のニーズが台数に比例する形で大分市にある。

三つ目が、マンション清掃の依頼が、大分で増えているのと同時に、範囲が広がっている。

ということです。

 

80%まで売り上げを引き上げる為には、利用者さんが安心して過ごせるスペースを確保すると共に、利用者さんの人数に応じた事業費の確保が絶対に欠かせませんし、高い工賃を支払う為には、収益性の高い事業を確保する必要が法律的にもあるからです。

 

 

では、なぜ70%でもなければ、90%でも無いのでしょうか?

 

 

それは、

 

 

正直分かりません。

 

 

ただ、売り上げは現状から10%減るだけで、会社にとってはかなりの打撃になります。

 

そして、10%でも増えると、人員や設備などの新たな投資を検討しなくてはならない水準になる事も十分に考えられます。

 

なので、その振り幅を考えると、どちらにも余裕があるのが80%という事になる様な気がしてます。

 

 

80%の法則。

 

この仮説がどこまで通用するか、ちょっと試してみようと思います。