平凡が一番難しい

小さな会社を経営していて感じることを、ぼそぼそと書いています。

組織崩壊が起こる、二つの要因

急に肌寒くなりましたねー。

朝晩の急激な冷え込みと、日中との温度差には気を付けたいと思います。

 

 

さて、今日の記事は組織の繁栄とは真逆の崩壊についてです。

 

ここでは黒字経営から、吸収合併に追い込まれた会社組織の例を基に書いてみたいと思います。

 

結論から書くと、組織が崩壊や縮小に向かう場合には二つの要因があります。

その一つが『内部崩壊』。

それともう一つが『外部崩壊』です。

 

内部崩壊は、従業員などの同じグループに所属する人の手による乗っ取りや、不祥事による会社の信用失墜、そして、変革できない社風によって起こりやすいのが、幹部社員の堕落やおごりによる組織の私的利用です。

内部崩壊が起こりやすいケースが、従業員がウソをつける組織の仕組みが主な原因です。

社内不倫などの不貞行為の場合は男女がペアになって出張していたり、会社や顧客のお金を横領するケースでは、経理担当者が一人だったりします。

なので、内部崩壊については、これらのリスクを無くす仕組みを作る事が容易なのですが、ついつい『ウチは社員を信用してるから!!』とか『ウチの社員に限って』などと言ってしまうのが問題解決に至らない本質なのです。

疑うのではなく、ウソをつかなくても良い、ウソがつけない仕組みを作る事が重要なのです。

 

 

そして、外部崩壊。

これは取引先からの不渡りなどによる資金ショートや、上場企業であれば敵対的買収TOB)による紛争で経営が停滞したり、信用が低下したりすることもあります。

これには常日頃から十分な資金を確保したり、TOBに備えた対策を専門家と準備したりと、内部でできる事と外部からの協力を得る事の両方が必要になります。

しかし、ましてや中小企業となると、自転車操業に近い資金繰りをしている企業も多く、毎月のキャッシュフローに余裕が無ければ、そもそも内部留保を積み上げる事自体が難しいという場合も十分にあります。

今回のコロナ禍もそうですが、とにかくキャッシュを持ってる所がしっかりと生き残ってる印象です。

外部崩壊を防ぐ手段の一つとして、いつでも使える十分な資金を確保しておくという事が、かなり重要である事が分かります。

 

 

身売りした上場企業

僕が過去に勤めた事のある会社の中でもダントツで大手だったのが、ある家電メーカーの子会社としてグループに属していたハウスメーカーの会社です。

 

従業員数は海外も含めたグループ全体で約8万人。

 

もちろん、福利厚生はバッチリで、しかも給料の基準が本社のある大阪という事もあって、福岡在住の僕は同年代では比較的良い給料を貰っていました。

 

しかし、入社後4年目の2006年頃、状況は徐々に変化の兆しを見せます。

 

会社本体は企業買収を繰り返す事で大きくはなっていましたが、当然の様に不採算の部門も出てきます。

その内の一つが、僕が所属していたハウスメーカー部門です。

 

このハウスメーカー部門も、元々は業界第三位だった会社を買収したものでしたが、実は買収直前には業界五位にまで沈んでいたのです。

 

バブル期に急成長を果たした結果、営業手法も旧態依然の営業で、総務関係や展示場などの固定費が莫大なままでした。

 

僕が退職した翌年には、アメリカでのサブプライムローン問題が表面化し、アメリカ経済が大混乱。日本国内の経済もその煽りを受けたのも当然です。

その後、本社もろもと事業を縮小しつつ、少し身軽になったところで他社に吸収合併されたのです。

 

振り替えってみると、その会社には内部と外部の両方で崩壊が始まっていたように思います。

 

住宅部門を早く持ちたい親会社は買収を急いでしまい、確かにお買い得に見えたであろう業界でも順位を落としているハウスメーカーを買収するという判断に至りました。

しかし、下火になってる会社を根本的に改革せずに、従業員からノウハウまでを引き継いだのは大きな失敗と言わざるを得ないと思います。

悪しき慣習による内部崩壊が始まっていた組織を買ってしまい、更には外部崩壊であるサブプライムローン問題による経済の冷え込みという、ダブルパンチを回避する事ができなかったのです。

 

この様に、上場企業であっても、内外の両面から崩壊が始まってしまえば、僅か1~2年で吸収合併されてしまうのです。

 

このコロナ禍も何だか良く似ていて、元々そんなに業績が振るっていなかった、いわゆる ”ゾンビ企業” から倒産しています。

サブプライムローン問題も、元々の脆弱さを露呈させただけに過ぎず、コロナも体力が無い会社から潰れているに他なりません。

 

SICも、従業員さんを雇用している以上は内部崩壊のリスクがゼロではありませんし、経済活動をしている以上は外部崩壊のリスクもゼロではありません。

 

そのリスクを日々炙り出し、一つ一つ解決していかなければならないのは、大企業でも中小企業でも同じですね。