相変わらずいい天気が続いていますが、旅行の計画を立てられずにいます。
観光産業に少しでも力になれればとの思いから、先月中旬ごろには旅行計画を立てましたが、今回の感染拡大を切っ掛けに一度白紙に。
東京などに行く計画ではありませんが、『Go To』自体の取り扱いがイマイチよく分からない事と、本当に歓迎されるのか、また、自助努力の部分での感染予防は十分にできるのかなど不安は拭えません。
近場でキャンプも含めて、再検討しようと思います。
法定雇用率制度の矛盾
さて、以前のブログでも触れた事のある
『障害者法定雇用率制度』ですが、矛盾の先の限界がどうやら露見してきているようです。
この制度は、ある一定の雇用数を満たす企業に課せられる義務で、満たしていない企業には事実上の罰金とも取れる『障害者雇用納付金制度』なるものも存在します。
現状で言えば、一企業あたりの従業員数45.5人に対し、1名の障害者雇用が義務付けられており、満たしていない企業はその割合に応じて納付金が徴収されます。
納付金を徴収する理由として国は
障害者を雇用するためには、作業施設や作業設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等が必要となるために、健常者の雇用に比べて一定の経済的負担を伴うことから、障害者を多く雇用している事業主の経済的負担を軽減し、事業主間の負担の公平を図りつつ、障害者雇用の水準を高めることを目的として 「障害者雇用納付金制度」が設けられています。
とあります。
要するに、国が『障害者雇用すると一定の経済的負担があります』と言っているのです。
これでは不公平が生じるので、満たしている企業には『調整金・奨励金』を支給しますと。
こうなると、一番基準を満たしやすい対象者は誰になるでしょうか?
それは、紛れもなく ”国” と ”大企業” です。
ここでぶり返したくなるのが厚生労働省自ら雇用人数を水増ししていた問題です。
『ええ加減にせーよ』
と言いたくなるこの問題ですが、この問題のそもそもの本質は、
『実は法定雇用率制度自体が無理なんだよね』と厚労省自ら言ってしまってるようなものであるということ。
そして、厚労省はそこで働く誰の腹も痛まない形で、大幅な追加雇用を行いました。
結局、追加雇用した人件費は国民負担です。
しかも、その中には納付金を徴収されてる企業も含まれてます。
凄い矛盾です。
大企業はその資本力を活かせば、新たに建物を新築してでも特例子会社を設立できますし、それにより奨励金を受け取る事も可能です。
国は一方的に雇用率を上げ、中小企業に義務を課し、納付金を徴収します。
これですね、企業側が『公表されても嫌だし、仕方ないから雇用するか』となった場合、そんな思いで雇用された障害者自身は本当に喜び、生きがいを持って働けるでしょうか?
僕の考える対策
僕は、どちらにも喜ばれない雇用は悲劇でしかないと思います。
なので、正解とは言い切れませんが、僕なりに対策を考えてみました。
- 法定雇用率はあくまで目安として、義務化は行政と従業員1万人以上または、年商3億円以上で経常利益が3千万円以上の企業(以下、ここでは大企業としてくくる)が対象とする
- 雇用を希望する中小企業(以下、ここでは従業員数9,999人以下の企業を指す)には国からアドバイザーを派遣し、雇用後も3年間は相談を受け付ける
- 中小企業が新規で雇用した場合、マッチング期間として5年間程度は国が給料の全額を負担する。また、トライアル期間を充実させ、その間の給料も国が全額負担する。
- 中小企業が新規雇用に関わる増改築やデスクの配置換えが必要な場合の費用は、国が全額負担する。ただし、5年以内に解雇した場合は、以降5年以内にその費用の半額を国に返納する。ただし、自己都合による退職の場合は、1年以内に新規雇用するかまたは10年以内にその費用の半額を国に返納する。
- 中小企業に雇用された障害者に通勤支援が必要な場合、国が指定する業者にそのサポートを依頼する事ができる。費用は企業が定める交通費を上限とし、不足分は国が負担する。
- 食事や排せつの介助が必要な障害者は、国や大企業が優先的に雇用し、中小企業は介助が不要な障害者を優先的に雇用できる事にする。
- サポーター国主導で研修などを実施して育成し、民間に委託して事業化する。 その際、福祉色が強くならない様にする。 サポーターの役割は、企業の中に入り込んでの従業員への研修、改築のアドバイス、業務の切出しを行う。 事業者は国へ指定申請を行い、許認可を受ける事で給付費を受け取れる仕組みとなる。
対策の根拠
1. 僕は、企業としての体力がそこまで十分でない中小企業(ここでは9,999人以下とします)に雇用を義務化するのには無理があると感じています。国はHPで公平性を強調していますが、従業員数の比率でカバーすれば公平と考えるのは余りにも拙速で、従業員数や売上高をベースに、経常利益が十分に確保されている企業を対象とすべきと考えます。
2.雇用したら終わりではなく、国が本気で障害者雇用に取り組むのであれば、雇用後のサポートも欠かせません。 雇う側、雇われる側の満足度をしかっかりと把握することで、安定雇用に繋げます。
3.中小企業の場合、特に不安なのがミスマッチです。 お願いしたい業務の遂行能力が欠如していたり、作業スピードが想定を下回った場合には損失が発生します。 トライアル期間を充実させると共に、雇用しても当面は経費が大きく掛からないという安心感の中で、じっくりと人材育成する事を目的としています。
4.中小企業が障害者雇用をためらう要因の一つとして必ず上がるのが、物理的対応です。 いくら補助金が出るとは言っても、全額でない以上、ためらうのは当然です。 返還義務などのルール作りが必要だと思いますが、一定の基準を満たす場合には全額負担が望ましいと思います。
5.6.公共交通機関が充実していない地方都市にあって、通勤支援は絶対に欠かせませんし、排泄や食事の課題も、障害者の社会参加に本気で取り組むのであれば、国が率先して取り組んで貰いたい部分です。
7.障害者福祉は国が親となり取り組むべき事業ですが、出来る限り民間を活用する事が好ましいと考えています。 親となると子をしつけたくなる気持ちも分かりますが、民間の感覚とズレた形では絶対に上手くいきません。 できる限り民間に近い感覚で事業を遂行する為にも、移管できる部分は民間に委託するべきです。
長くなりましたが、以上がザックリと僕がイメージする障害者雇用のあり方です。
本質的な部分で言えば、法定雇用率を制度化してしまう方が行政が楽でしょうが、それでは何の解決にも至らないという事を断言します。
そして、中小企業にも、あまねく雇用を推進したいという思いは、僕も同じです。
しかし、法定雇用率制度はいささか乱暴な制度に思えてなりません。
国はもっと、『障害者の方々は戦力になるよ!』という事をPRするべきで、そして、本当に戦力になって貰える為の施策・制度を考えるべきです。
ただ制度を決めて、罰則や基準を強化するだけでは誰も幸せにならないという事も、併せて断言します。
雇用率が上がらないのは締め付けが弱いからではなく、もっと本質的な部分の問題を解決しないことには前に進まない事を理解してもらいたいと思います。