平凡が一番難しい

小さな会社を経営していて感じることを、ぼそぼそと書いています。

お金の使い方が下手な人

ケチと倹約家の違いと言えば、ケチは兎に角お金を使うのが嫌いで、ここぞとという時にも出費を渋るタイプの人で、倹約家は日頃の生活では贅沢をせずに資金を溜め込み、いざという時にしっかりと支出します。

 

この違いを完全に履き違えた人の例を書いてみようと思います。

 

お金を使っても喜ばれない人の例

~あなたの周りにもこんな人いませんか?~

 

小さな町で建設業を営むA社長。

娘婿として婿入りし、先代から社長を引き継いで三年。

入社からちょうど十年目に社長に就任しましたが、入社当時から周囲の従業員から

 

『あいつは社長の器じゃない』

『あいつが社長になったらみんな辞めちまう』

 

などと陰で囁かれていました。

 

従業員20名程度の中小企業ですが、肝心な会社の業績はと言えば先代から引き継いだ頃に比べても一応は微増を続けており、A社長も毎年の決算後には社員の前で更なる事業拡大を宣言していました。

 

景気に左右されやすい建設業にあっても毎年黒字決算をたたき出し、尚且つ社員さんにも福利厚生をつけたりボーナスを支給したりと、なかなかの厚遇です。

 

なのに、何故社員さんはA社長の事を『器じゃない』と言うのでしょうか。

 

 

 

元々、A社長の実力じゃない

 

黒字決算を続けてこれているのも殆どが先代が築いた顧客からの仕事ばかりで、しかも現場の職人さんの評判が良く、現場監督さんが現場に居る時に次の仕事を貰ってくることもしばしば。

要するにA社長が取ってきた仕事は皆無に近いのです。

 

そして、社員さんの福利厚生面についても、『建設業界で長く働いてもらいたい』との先代の思いで作られた仕組みで、A社長はそれを引き継いだだけなのです。

 

 

 

社員興ざめの決定打

 

ある日、先代から使えてきた取締役営業部長がA社長に直訴します。

 

部長『社員から、熱中症予防対策の為に空調服購入の要望が出ています。』

 

A社長『一着いくら?』

 

部長『ピンキリですが、安いモノだと一万円からです。』

 

A社長『そうかー。。 で、何着くらい必要なの?』

 

部長『現場の職人は12ですが、洗い変えも含めるとできれば24枚欲しい所です。』

 

A社長『に、にじゅうよんまいーーー!?』

 

部長『結構値が張りますので、最初は一人1枚でも。。』

 

A社長『だめだめ!!ウチはお金が無いんだから! 取り敢えず今月は10枚買って良いから、買い増しは来月以降で様子見ながらまた相談して!!』

 

といった具合に、社員の健康面に関わる熱中症対策にも積極的ではありませんでした。

 

そんなA社長が、会社の懇親会で社員を興ざめさせてしまう出来事がありました。

 

久しぶりの新卒が入っての懇親会でのこと。

余程嬉しかったのかA社長が

『今日は俺のおごりだから存分に飲んで楽しんでくれ!!』

と大盤振る舞い。

 

日頃から『兄貴肌』にあこがれるA社長は、従業員にもよくジュースなどを奢っていましたが、今日は更に太っ腹。

これには流石に社員も喜んだと思った、正にこの奢りが地雷だったのです。

 

 

なんと、『俺のおごり』と言っておきながら、お会計の際に領収を切ったのです。

 

それを見た社員は興ざめ。

 

『ここで10万円使うなら、文句言わずに空調服10枚買ってよ!!』

 

 

となったのです。

 

 

同じお金、同じ金額でも、使い方を間違ってしまうと人は離れてしまいます。

 

僕も、リッチな先輩たちによく飲みに連れて行って貰っていましたが、お金持ちの共通点は

『お金の使い方が上手い』

です。

 

スマートに、綺麗に支払うのは当然ですが、何より

『人に喜ばれるお金の使い方』

を知ってるなーと。

 

 

お歳暮やお中元という風習もここ最近では薄れがちですが、結婚や出産、お悔やみ事などでの対応の速さなどは、本当に勉強になりました。

 

僕が今、コロナで雇い止めになった後輩君を雇用したのも、この先輩方の背中を見てきたからに他なりません。

 

 

A社長も社長となった今、注意をしてくれる人が居ないのでしょう。

 

先代から会社を引き継ぐまでの10年間、技術よりも先代の ”お金の使い方” を学ぶべきだったのかも知れません。