皆さんはチャリツモというブログをご存知ですか??
こちらのブログを見てみると、どうやら複数人のライターさんやクリエーターさんが所属しており、難しく捉えられがちな社会問題を分かりやすく解説したり、テレビやニュースの報道を断片的に見てもその問題の本質が分からないままだったりすることを非常に分かりやすく解説してくれたりしています。
その中に、元々僕自身が問題だと過去の記事でも訴えてきた事が分かりやすく書いてあったので、僕も改めてブログを書いてみようと思いました。
チャリツモさんの記事にもあるように、障害者の就労支援事業には
障害の度合いにあわせ、雇用契約ができる「就労継続支援A型」と雇用契約を結ばずに雇用する「就労継続支援B型」の2種類が存在します。
B型の場合は雇用契約を結ばない一方、A型の場合は雇用契約を結び最低賃金を支払われ、社会保険にも加入義務があります。
僕はそもそも、6年も前からこのA型事業自体が制度設計の段階で既に崩壊していると訴えてきました。
というのも、上記の通りにA型は
①雇用契約の締結
②最低賃金の保証
③社会保険への加入 とあります。
ここまで手厚く保証する為に、事業所は一人当たりの生産性をどこまで求めなければいけなくなるか、行政はご存知なのでしょうか?
多分、その難しさを知らない人たちが制度を作っているから、無根拠に上記の様な3条件を義務付けるのだと思います。
先ず問いたいのが、
①何故、雇用契約を締結する必要があるのか
②何故、最低賃金を保証する必要があるのか
③何故、社会保険への加入が義務なのか
です。
この何故に答えてくれる人は、僕の周りには一人もいません。
そもそも、制度設計をされたお役人さんですら、納得できる説明をしてくれる人は皆無でしょう。
結局、この制度が生んだのは悪徳業者による不正です。
昔、苦労をされた経営者の方からこんなお話を伺いました。
『自分が経営者になりたての頃は苦労した。騙されもしたし、会社の金を横領もされた。でも、その人を恨んではいない。何故なら、騙された自分が悪いし、横領できる様な仕組みになっていた事自体が悪なのだから』と。
勿論、騙す人、横領する人が悪いのは当然です。
しかし、そうさせてしまう仕組みを作ってる側にも問題がある。
僕もそれには同感です。
結局のところ、就労支援事業では
A型周到支援事業所を立ち上げることで、国から補助金をもらえることができる、ということで、業界参入する業者が増えたのです。
しかし、こうした業者の中には悪質なものもあるようで、雇用した障害者に対し、職業訓練をするわけでもなく、ただ本を読ませたり、短時間勤務で雇い入れることで、障害者雇用一人当たり一日7,000~8,000円もらえる給付金との差額で儲けているといいます。
記事にもある様な事態を招いてしまったという訳です。
因みに、1日の通所の時間に厳密な縛りはありません。
ですので、利用者の1日当たりの利用時間が2時間でも5時間でも7,000円~8,000円の給付金が支給されます。
そうなると、いよいよ短時間利用をもくろみ始めます。
現在の大分県の最低賃金の762円で3時間来ても時給工賃は2,286円。
仮に利用者の多い事業所で給付金が7,000円であったとしても、その差額は4,714円です。
1か月間、まるまる通所しても利用者さんが受け取る工賃は50,000円程度。
それに引き換え事業所が受け取る差益は一人当たり月額103,708円。
指導員1名で5名まで指導できますから、利用者さんが25名いた場合、差益だけでも月額約260万円に上ります。
恐らく、何も作業させてない事はないでしょうから、事業収入があればその利益は更に増えます。
ここまで書いただけでも、あまり作業を提供していなくても事業所が儲かっていた事がご理解頂けると思います。
結局、この悪徳業者を根絶しようと動いたところ
こうした状況を改善しようと、2017年4月に政府は給付金要件を厳しくしました。
ところが皮肉なことに、給付金をもらえなくなったことがきっかけで経営がうまくいかなくなり、経営破たんする事業所が続出したのです。
同年7月には、岡山県倉敷市と高松市の全7事業所が倒産し、約280人の障害者が解雇されました。
という事態が明るみになりました。
ここにある ‟給付要件を厳しく” とは、
①もともとゆるめの禁止とされていた給付金からの時給工賃の支給を絶対禁止にした。
②利用者さんへ支払った実際の月額給与(工賃)の額により、給付金のランクが変動するようになった。
という点です。
僕は元々、この2点がザルだったのでA型への参入を辞めていました。
①禁止と言いながら、給付金から給料が払われているのに見て見ぬふりをしている。
→これはいつか絶対禁止になると思っていた。
②月額給料が一人10万円で利用者が10名の事業所よりも、月額3万円でも利用者が20名いる事業所の方が給付金が多くなる。
→利用者さんの所得アップの事なんか考えていない。本来ならば、月額給料をしっかり払っている事業所を評価すべきだ。
というものです。
以上の点の変更に関しては、実は就労B型も対象です。
企業にとって、ドル箱になる様な制度を作ってしまえば付け込まれて当たり前です。
この制度が生んでしまったもう一つの悪。
それは、
『B型は工賃が安い』 というレッテルです。
A型は施設外の肉体労働
B型は施設内の内職作業
A型は月額10万円以上可
B型は1万2千円程度で良い方
こんな構図が出来上がりました。
本来、一般就労や社会参加が難しい障がい者の方が利用するサービスです。
でも、結局は現場の事を知らない人が制度作りをするからこんな事になるんだと痛感してます。
今回の障がい者雇用水増し問題も同様です。
そもそも、法定雇用率という制度を作った人たちが、何を目的に、何を基準に、何を根拠に作ったものなのでしょうか?
制度を作り、縛りを設けて、施行し、監督する。
しかし、制度設計にも、縛りにも、全てに根拠が無い様に感じます。
まだまだ、この問題は続きそうですね。。。
ざんねーーーーん。