平凡が一番難しい

小さな会社を経営していて感じることを、ぼそぼそと書いています。

やっちゃった日産。

日産のカルロス・ゴーンCEOの逮捕劇ですが、皆さんの目にはどんな風に映りましたか?

 

ちょっと長くなりますがお付き合い下さい。

 

社長の西川(さいかわ)さんの会見を聞くと、カルロス・ゴーンという人はとても悪質で、会社を私物化し、剛腕であり一人で物事を進めてきた事が今回の問題の本質である様な口ぶりです。

 

確かに、基本的にはそう捉えられて当然です。

 

数十年前から、カルロス・ゴーン氏の役員報酬は日本人には考えられない程高額で、その報酬額がニュースになるほどでした。

 

しかし、カルロス・ゴーン氏が着任して以降の日産の業績は右肩上がりで、

尚且つグローバルな視点を持っていそうな外国人経営者から「グローバル基準で言えば僕の報酬はまだまだ低い方だ」と言われれば、島国の経営者は「ペリーがそう言うならそうかもしれない」と、全てを鵜呑みにしたという事実があります。

 

当時の日産と言えば、これまでに無いほどの業績悪化に悩んでいるなさかでもあり、また、世の中的にもマスコミが ‟グローバリゼーションこそ企業を救う” ‟グローバル化に乗り遅れた企業は必ず衰退する” という程、とにかくグローバルという言葉が出始めた頃でもありました。

 

僕みたいな高卒のペーペーがグローバルというキーワードを意識するほど浸透しました。

 

そんな風を巻き起こしたゴーン氏ですが、彼とて生まれた翌日から経営者をしていた訳ではありません。

 

もちろん、先ずはサラリーマンから始まっています。

 

 

ここに、今回の問題の一端がある事を考えていきましょう。

 

 

経営者には2パターンしかありません。

 

1つ目は親の代から継いだ二代目以降の経営者。

 

2つ目が自分で創業した初代の経営者。

 

これしかありません。

 

カルロス・ゴーン氏は所謂、前者の二代目以降の経営者に当たります。

 

ただ、単純な二代目と違うのが‟創業家ではない”という点と、彼の前には ‟何人もの社長さんがいる” という点です。

 

日産ほどの大企業になると、当然の事です。

 

ゴーン氏は、これまでの実績を踏まえてCEOに抜擢されていますが、会社とは面白いもので、一度権力を握った人間はその他の部分にも権力を持っていくことができます。

 

なので、推挙されての抜擢ではなく、他所で成果を上げたゴーン氏は、更に成果を挙げるべく、日産の次は三菱のトップに自ら立ったという点です。

 

そんな、リーマン上がりの人が大企業のTOPに立つと、どんな弊害が生れる可能性があるのでしょうか?

 

それは、「自分の報酬は自分の為にだけ使いたい」という心理です。

 

会社の経費の中には経費計上できるものと出来ないものがあります。役員報酬は人件費ではなく経費計上となりますが、会社の為に動いたつもりでもその一部は経費が認められない事ってあるんです。

 

会社の為に動いたらお金を使わなきゃいけない。 

じゃあ、その経費はどこから捻出するの?って話になりますよね??

 

 今回の ‟日産による内部調査” にも、ゴーン氏に対する元々から居た人たちの蠢(うごめ)いていた不満の様なものを感じます。

 

言っても、大卒から一つの企業に勤めあげて、もし役員になったとしてもこれまでの日本の慣習から考えても年収で何十億って貰う人ってほとんどいなかったと思うんです。

 

それが、外国から来た敏腕経営者が、売り上げが回復する前から目が飛び出るような報酬を要求したらびっくりするのも無理はありませんよね。

 

しかも、報酬を要求するだけあって業績は右肩上がり。

 

今までやってきた事を否定されたと思う人もいたはず。

 

そうなると、所謂 ‟面白くない” と感じる人がいたと思うんです。

 

現社長の西川社長 もその一人ではないでしょうか??

 

今回の10時から開かれた記者会見。冒頭から、西川社長のゴーン氏に対する不満とか妬みが爆発しているような気がします。

 

西川社長は会見で

 

「今回の問題は、決して看過できない問題であり、非常に残念」 という旨のコメントをしました。

 

それは、あくまで日本企業の日産自動車が被害者であるような口ぶりです。(確かにその部分はありますが。。)

 

ゴーン氏の収支報告書の記載漏れ(漏れではなく不記載)は重篤な過失です。

 

会社の私的流用は絶対ダメです。

 

しかし、権力を握ったというだけで、その人を組織ぐるみで集中的に陥れている様な気がしてなりません。

 

今回の記者会見でもコーポレートガバナンスというワードが出てましたが、それをいかんなく発揮するべきは西川社長ご自身だったはずです。

 

恐らく、ゴーン氏の記載漏れに関しては、ちょっと前から気付いていたはず。

 

なのに、それを内々の人間が誰もゴーン氏には指摘せず、ゴーン氏に突き付けたのは逮捕という崖っぷちです。

 

これが意味する事は、完全にゴーン氏を追い出す事だけを考えていた事に他なりません。

 

 

しかし、日産の業績をゴーン氏以外の人の誰がV字回復する事ができたでしょうか?

 

 

 

西川社長は冒頭で言っています。

 

「一人の人間に権力が集中し過ぎてしまった」と。

 

「それが悪かった」と。

 

それは違うと思います。

 

権力が集中したことが悪いんじゃないんですよ。

 

自分たちが実力を付けてさえいれば、ゴーン氏にもモノが言えたはずです。

 

その実力を付ける事無く、今のポジションに甘んじていた事にも問題がある気がします。

 

もちろん、不正に手を染めたゴーン氏には非がありますし、どんな事にしても、経営者としては付け入らせてしまう隙を作ったのは脇が甘いとしか言いようがありません。

 

 

しかし、日産の組織の脆弱さが露呈した事件だったと思います。

 

これから先も、お互いに足を引っ張り合う組織になる事は間違いありません。

 

ゴーン氏に直接話をして、自ら記載漏れを公表する事を促す様な人物がいなかった、それを組織としてさせようともしなかった。

 

ここに、日産の組織の本質的問題があると僕は思います。

 

僕の予想ですけど、

 

日産の次期CEO(会長)は恐らく西川社長になるのではないでしょうか?

 

だって、今回の内部告発の情報収集の指示を出したのは、彼以外考えられませんから。

 

 

(昨夜から、内容を一部変更しています)